「お前、部活は?」


碧は、私には視線をやらなかった。


私なんてまるで存在しないかのように、オギの方しか見ない。


「サボって桜ちゃんと密談してた」


「大会近いのにサボってんじゃねーよ」


「しょうがないじゃん。ねぇ?桜ちゃん」


オギがわざわざ私の顔を覗き込んで話を振ってくれたのに、碧はこっちを見ないんだ。


完全に無視されてる。


やっぱり、ここには来ない方がよかった。


私は碧の邪魔なんだ。


「藍沢に会ってやれば?かなり張り切って頑張ってくれてるから、心配だし」


「いいマネージャーじゃん。大事にしろよ?」


「分かってるって。マネは俺らの宝だから」


大真面目な顔で言う碧を見ると、切なくなる。


その宝に私は入っていない。


私はただのガラクタ。


それがすごく悲しい。


私の目の前で、別の女の子が宝って呼ばれたのもツラかった。