『“桜と碧くんの仲はそんな簡単に壊れるものじゃないでしょ”とか“桜をこのまま傷つけ続けるんなら、許さないからね”とかさ。今日仲直りしてこいって後押しされたから、今こうして…』


瑠璃の目的は私を嵌めることだけじゃなかったんだ。


碧を精神的に追い込んで、弱った碧を支えることで碧と急接近した。


そして“彼氏よりも親友を優先する友達思いの優しい女の子”を演じ、碧の心を完全に奪う算段だったんだ。


ここまでがすべて瑠璃のシナリオだったんだ。


すべてはあの女の意のままに動いていたんだ。


『桜子?』


この仲直りも瑠璃の計画したことだったんだ。


そう思うと、舞い上がっていた感情も急激に冷めてしまった。


サクラのシールが掌で無知な私を嘲笑っている。


『ごめん、碧。急用思い出したから帰って』