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「桜子!」
放課後、教室掃除をしていると、部活に行ったはずの碧が戻ってきた。
その瞬間、女子の視線が突き刺さったような気がした。
「顧問の都合で急にオフになったから、久々に一緒に帰ろーぜ」
朝は一緒に登校しても、部活が忙しい碧と帰りが一緒になることは滅多にない。
「あとちょっとで掃除が終わるからちょっと待ってて」
「ほーい」
そう間抜けな返事をしながら、碧の足は当たり前のように掃除ロッカーに向く。
そして、当たり前のように掃き掃除を手伝ってくれる。
「ありが─」
「碧くん優し~!」
「ホント助かるぅ」
さっきまでサボってた女子二人が碧を間に挟んで急に掃き始める。



