そんな瑠璃に話しかけられて、舞い上がったのをよく覚えてる。


『洗濯機は、部室棟3階の突き当たりにあるよ。すぐ近くに物干し竿もあるから行けば分かると思う』


『ありがと!ねぇねぇ、桜子って呼んでいい?名前超可愛いから、すんごく呼びたいんだよね』


このとき笑顔がやけに印象に残っている。


ぱっちりした目を細めて頬にエクボを作って、楽しそうに笑っていた。


『あ…ごめんね。“桜子”は……』


私を桜子って呼ぶのは碧だけ。


碧だけの特別な呼び方が他の人に侵略されるのが嫌だった。


でも、それをばか正直に言えるほど素直な性格ではない。


何て言って断ろうかと迷っていたところに、碧が通りかかったんだ。