転入した志深の公立高校では、二年次から特別進学クラスと総合進学クラスなるものに分かれていた。
さらにこの中で大まかに、理数系と文系でカリキュラムが組まれている。

特別進学クラス、通称特進クラスの理数系には、国公立大学、あるいは医学部、歯学部などの難関校の受験を目指す(目指せるレベルの)生徒が在籍している。

前述のとおり、洸暉は特進の理数系で、陽澄はいちばん間口の広い、総合進学クラスの文系に編入した。
文系ではあるが、二年次まで数Ⅱは必修科目だ。

三年次から、個々の進路希望に応じて、より細かなカリキュラムが組まれる。
と、なかなかに受験指導には力を入れている学校なのだ。進学率も現役合格率も高いらしい。

———資格を取得できる学部がいいです

二月の進路指導面談で、陽澄は担当教諭にそう告げた。
予め提出していた進路希望にも、その旨書いていた。

資格、と男性教諭がその言葉を拾う。陽澄と手元の資料に交互に目を移した。
揶揄する響きではない。

まあ、「興味ある学部…特にないです」だの「どこでもいいです」だの言われるより、相談にのる甲斐はあるだろう。