まるごとバツをつけてやりたい気持ちを押さえながら、鞄からシャーペンを取り出した。
とりあえず翌週の月曜から金曜まで線を引き、『掃除当番』と書き込んだ。

かたわらでポケットに手を突っこんで眺めている彼に「ダメっていうわけじゃないんだけど…」などと言い訳がましく口にしている自分に幻滅する。
刺し違える覚悟はどこにいったんだ。
「…サボれないから」

佐澤の(ぼん)のお相手を務めないといけない…そんな理由で掃除当番を放棄したら、もはや学生とはいえない気がした。

洸暉は掃除当番をこなしているんだろうか。
隣であいまいに頷いている彼が、モップや雑巾を手にしている姿は、うまく想像できなかった。