わたしの髪はわたしのもの。切ろうとどうしようと、わたしの勝手だ。
あんたに引っ張られるためにあるわけじゃない。
ほんの小さな勝ち味。たとえるなら、いじめっ子の後ろに回ってあかんべーをしているくらいの、仕返しともいえないものだ。
大きめの唐揚げを口に押しこみ、力をこめて噛みしめる。
かたわらでパンを噛る洸暉が、ふと手を伸ばしてくると、短くなった陽澄の髪をくるくると指に巻きつけて玩びはじめる。
小学生の男子じゃないんだから、人の髪で遊ぶな。
いや、高校生男子らしいことも、しっかりやってるけど…
「早く伸ばせよ」
髪は縮まない。ゆっくり確実に伸びるだけだ。
胸のうちでつぶやく。
自分にも彼にも、自由にはできない。
あんたに引っ張られるためにあるわけじゃない。
ほんの小さな勝ち味。たとえるなら、いじめっ子の後ろに回ってあかんべーをしているくらいの、仕返しともいえないものだ。
大きめの唐揚げを口に押しこみ、力をこめて噛みしめる。
かたわらでパンを噛る洸暉が、ふと手を伸ばしてくると、短くなった陽澄の髪をくるくると指に巻きつけて玩びはじめる。
小学生の男子じゃないんだから、人の髪で遊ぶな。
いや、高校生男子らしいことも、しっかりやってるけど…
「早く伸ばせよ」
髪は縮まない。ゆっくり確実に伸びるだけだ。
胸のうちでつぶやく。
自分にも彼にも、自由にはできない。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)