かるいかるい! 鏡に映る姿も新鮮ながら、それ以上に頭がさっぱりした。

髪を洗うのも、ドライヤーで乾かすのも、梳かすのも、とにかく楽だ。
物理的な負担が減ったので、少しばかり気持ちも軽くなった。
しがらみも人間関係も、こんなふうに切り落としてしまえたらいいのに、とムシのいいことを思うも、現実は相も変わらず重いままだ。

その元凶とは、月曜日には嫌でも学校で顔を合わせることになる。

昼休みに例によって屋上で弁当を広げていると、洸暉があらわれた。
弁当を持参している陽澄と違い、購買で昼食を調達している彼は少し遅れてくる。

いや、分からない。
こちらの位置情報を捕捉したのち、来ているのかもしれない。

いずれにしろ、他に行くあてはなし、と。

彼が一瞬動きを止めたのを、視界のはしで感じとる。
いつものように隣に座ってきて、まじまじというか、無遠慮な視線をおもに髪のあたりにあてられる。
そちら側の肌がぴりぴりして、落ち着かない。

やああって、つまんねぇ、という呟きを耳が拾った。