相手はといえば、こちらに背を向けてすたすたと部屋の一隅に歩を進めている。
ドアから向かって左奥にあたる場所に、机が据えられていた。
よくある合板製の勉強机ではなく、樹脂とスチール素材のオフィスに置かれているような事務机だ。
デスクトップパソコンが目に入ると、こんな場面でもちらりと羨ましさが胸にわいた。
部屋のなかほどには、小ぶりのローテーブルがぽんと置かれている。
向かって左側の壁には天井まで作りつけの棚があり、本が並んでいた。
右手側にはベッドと、その奥に折戸のクローゼットというレイアウトだった。
前に来た、もとい連れてこられたときは、当たり前だが部屋を見回している場合じゃなかった。
とはいえ、やはりベッドを視界に入れたくなくて、そこに背を向ける位置で、ローテーブルの前にぺたんと腰をおろした。
膝をくずして、鞄をわきに置く。今日は鞄を奪われることもなかった。
でありながら、自分はおとなしく彼にしたがったのだ。
ドアから向かって左奥にあたる場所に、机が据えられていた。
よくある合板製の勉強机ではなく、樹脂とスチール素材のオフィスに置かれているような事務机だ。
デスクトップパソコンが目に入ると、こんな場面でもちらりと羨ましさが胸にわいた。
部屋のなかほどには、小ぶりのローテーブルがぽんと置かれている。
向かって左側の壁には天井まで作りつけの棚があり、本が並んでいた。
右手側にはベッドと、その奥に折戸のクローゼットというレイアウトだった。
前に来た、もとい連れてこられたときは、当たり前だが部屋を見回している場合じゃなかった。
とはいえ、やはりベッドを視界に入れたくなくて、そこに背を向ける位置で、ローテーブルの前にぺたんと腰をおろした。
膝をくずして、鞄をわきに置く。今日は鞄を奪われることもなかった。
でありながら、自分はおとなしく彼にしたがったのだ。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)