体つき同様、顔も潔癖なほど肉が薄い。
佐澤洸暉の存在そのものへの恐怖心で意識することはできないけど、すっきりと整った顔立ちをしている。
くせのない黒髪に、どちらかというと色素の薄い肌。
なぜだろう、その髪の黒すら、深い青のガラスを幾重にも重ねてあらわれた色のように、どこか透きとおって感じられるのは。
鋭く、けれど脆い。それはなにかに似ているようで、そのなにかが掴めない。
そして彼は、自分を苛み苦しめる。
手首はまだ触れるとひりひり痛むのに、現実逃避で彼について思いめぐらせ、彼からの問いかけに機械的に答えている。
逃げ場などないのだと、九月の屋上で知った。
佐澤洸暉の存在そのものへの恐怖心で意識することはできないけど、すっきりと整った顔立ちをしている。
くせのない黒髪に、どちらかというと色素の薄い肌。
なぜだろう、その髪の黒すら、深い青のガラスを幾重にも重ねてあらわれた色のように、どこか透きとおって感じられるのは。
鋭く、けれど脆い。それはなにかに似ているようで、そのなにかが掴めない。
そして彼は、自分を苛み苦しめる。
手首はまだ触れるとひりひり痛むのに、現実逃避で彼について思いめぐらせ、彼からの問いかけに機械的に答えている。
逃げ場などないのだと、九月の屋上で知った。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)