はみ出しものの行き着く場所なんて限られてる。
まだ勝手を知らない校舎だけど、陽澄の足はだらだらと階段を上って、屋上へ出る塔屋のドアを押し開けた。

九月の日差しの眩しさに、一瞬目を細めた。
でも天気がよくて良かったと思う。雨の日はどうしようと考えて、自分が学校に通うつもりなのだと気づいた。

田舎じゃ不登校もままならない。
世間が狭すぎて、学校以外に行くところがない。ないないないない、ない尽くしだ。

錆の浮いたネットフェンスの土台のコンクリートに腰をおろした。
他に人影が見当たらないことにひとまず安堵する。仮に誰か来たとしても、かなりの広さがあるから距離をとればいい。

膝の上にお弁当を広げる。
中身を機械的に箸でつまんで口に入れる、咀嚼(そしゃく)する、飲みこむ。

疲れたなぁ…早く帰りたい、この場所から去りたい。
ぼんやり思っていると、人の気配を感じた。

誰か、あるいは自分と似たようなはみ出しものが来たんだろうか。と視線を向けて、箸が止まった。