強烈な羞恥がこみ上げ、スニーカーを脱ぎ捨てると、母の横をすり抜け階段を早足に上がる。

自分の母親が、娘を手篭めにした張本人に、上がってお茶を飲んでいくように丁重にすすめ、彼がそれを固辞する、というおぞましいやりとりを背中で聞きながら、部屋のドアを閉めて、ベッドに倒れこんだ。

震えが止まらない。永遠に夜が明けなければいい、世界が消えてしまえばいいと本気で願った。