【ヒズミ、元気してる? 新しい学校、早く慣れるといいね。また会おうねー】

スマホに届いたメッセージをベッドに寝そべって眺める。

邪気のかけらもないことは分かっている。それでも返事を打とうとする指は、パネルをさまようばかりで、じきに画面はセーブモードに切り替わってしまった。

あきらめてスマホをかたわらに投げ出した。
東京にいた頃は、同じ世界で暮らしていた頃は、確かに友達だったのに。

自分は “元気” でもなければ、新しい学校はビミョーで、東京の友達とまた会うことは、たぶんもうなんだろう。という現実だけがしん、とのしかかってくる。

田舎の夜は静かだな…とシミの浮いた天井をぼんやり見上げて思う。

古いベッドは、スプリングにガタがきているのか軋んで寝心地が悪い。母親の代から使っているのだから、当たり前といえば当たり前だ。

東京の家にあった自分のベッドはどうなったんだろう。もう夢の島だろうか。
家具を運んでくるような金銭的余裕もなければ、持ってきたところで納める場所もない。

ほとんど着の身着のまま、母親と二人で母の実家に転がりこんだ状況だった。