……それから、俺はどうやってその場を去ったのだろう。 いつの間にか俺は学校を出て、帰路についていた。 頭がぼんやりと霧がかかったようで、何も考えられない。 ふと足を止めると、頭の中に声がこだました。 『忘れるんだ』 高田のその言葉が頭から離れない。 忘れれば、楽になれるから……か。 俺は穂希の事を忘れようとしていた。 忘れたくなくても、忘れてしまうと、知っているから。 ……本当に、そうなのか?