マジか……。 二年通った高校とはいえ、俺の行動範囲はさほど広くない。 そして、こんな場所見たこともない。 どうするか……どこかに生徒がいれば、案内してもらえるのだが。 そう思いついてきょろきょろとあたりを見渡すと、桜並木の向こうの方に、人影が見えて、駆け寄った。 「すみません、正門まで案内していただけませんか?」 「はい?」 男は小さく漏らすと、こちらを振り返った。 「……え」 俺は、思わず目を見開く。 サァッと風が吹いて、時が止まったかのような感覚に陥る。