LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~

「篤さん…。
うちの会社で孤立してて。
べつに嫌われてるとかではないんですけど。
何処まで本当か分からないような噂が流れていて、
みんな篤さんを怖がっているのか、近寄らなくて…」


「まぁ、分からなくもないけど」


そう笑っているケイさんを見ると、
篤さん本人から聞いてるのか、
その会社での篤さんの状況を知っているのだろう。


「私が知ってる昔の篤さんは、いつも楽しそうに笑ってて。
いえ、実際、何かにイライラしてて、眉間に皺寄せている顔の方が多いんですけど。
ただ、いつもあの人の周りには人が居て…」


だからなのか。


会社で一人で居る篤さんを見掛ける度、
妙に気になってしまうのは。


寂しそうに見えるとかではないのだけど、
みんな篤さんの何を知っていて、そうやって距離を取っているのだろうか、と。



「篤、会社の女には手は出さないって言ってたから、梢ちゃんが現在の篤の何なのかは知らないけど。
はい」


そう言って、名刺を渡された。


さっきも、この人から名刺を貰ったけど、と思ったけど。


今貰った名刺には、この人の本名が書かれていて。


村上圭也(むらかみけいや)。


「もし、この先篤の事で何かあれば、こっちの番号に掛けておいで。
こっちはプライベートの携帯の番号が乗ってるから」


先程の名刺に書かれていた携帯番号は、
ホストのケイの番号なのだろう。