LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~

「梢ちゃんは、篤とは同じ会社ってだけじゃないの?」


私がミヤコの事を気にしてるのを察してくれてるのか、
潜めた声でそう訊いて来る。


篤ってその呼び方から、けっこう篤さんと親しいのが分かる。



「昔…。うちの兄が篤さんと仲良くて。
兄は篤さんの後輩で、中学の頃なんですけど」


「梢ちゃんのお兄さんの名前は?」


「え、真壁瑛太です。
中学の頃は、山田瑛太でした」


私がそう言うと、ケイさんはヤマダエイタ、と反芻していた。


そして、


「名前は知ってる」


そう笑っている。


「もしかして、ケイさんも同じ中学でした?」


「ううん。俺、篤と君のお兄さんとは違う中学だけど、
たまってた場所とかで、お互いよく見掛ける事あったから」


不良の世界は私には分からないけど、
地元の悪い奴は大体友達的な感じかな?



「うちの兄もそうですけど、篤さんもけっこう悪かったから、ケイさんもそうなんですね?」


その私の言葉に、どうかな?と軽く交わされた。


「でも、篤達はそこまで無茶してなかったけど。
多分、篤の幼馴染みの斗希がうるさかったんでしょ?
斗希、表では超優等生だったみたいだから。
万引きとかもそうだけど、女まわしたり、犯罪者にはなるなって」


何処か懐かしそうに笑っているこの人は、
その万引きもそうだけど、女性にそんな事をしたりとか、していたのだろうか…。


その篤さんの親友の斗希さんのおかげなのか、
うちの兄はいかにも犯罪みたいな悪さはしていなかった。


ただ、よく喧嘩はして、相手をボコボコにしていたみたいだけど、
それで警察沙汰になった事がないからか、それが犯罪行為なのだと本人は気付いていない。