LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~

「ベリトイ、そうなんだ。
大きいおもちゃ会社だよね。
何飲んでるの?
ジュース?」


ケイさんは話題を変えるように、私の前のグラスを見ている。


私の前には、リンゴジュースのグラスが。



「あれ、お酒ダメなの?
えっと、名前は…」



「梢です。
お酒、普段は飲めるんですけど。
今日はあんまり体調が良くなくて。
飲んだら、確実吐きそうだなって」


この店に来る前に行ったファミレスでのハンバーグで、
ちょっと気持ち悪くなった。


本当に、夏バテかも。


仕事はそんなに忙しくないのだけど。



「そう。
俺、ウイスキー貰おうかな」


ケイさんは、近くに居たウェイターにそれを告げていた。



私は、酔ってベロベロになっているミヤコに目を向けた。


ミヤコとは同じソファーに座っているが、私達から離れているのもそうだけど。


私とミヤコの間にはその若いホストが座っている。


私は、その逆隣に座るケイさんに、視線を向けた。


今なら、ミヤコにケイさんとの会話を聞かれる事はないだろう。



「ケイさんは、篤さんの知り合いなんですか?」



「篤さん、って?」



そのケイさんの顔は何の変化もなく、あれ?、
知り合いじゃないの?と戸惑ってしまう。



「えっと、北浦、篤です…」


それには、反応があった。


昔の篤さんの、北浦篤の名前に。


多分、先程の私が訊いた篤さんの名前でも、分かっていたはずだ。


きっと、この人的に、篤さんと知り合いだと安易に私に言わない方がいいと、
判断されたのだろう。