「篤さんが聞いた私の噂、どんなのですか?」


「んなの、聞いてどうする?」


そう困ったように返して来る感じ、けっこう言われているんだ。



「どんな風に言われているか聞いて、これ以上悪く言われないように態度を改めようと思います」


やっぱり、裏で色々言われるのは、
気分が悪いから。



「こないだ、食堂で近くに座ってた女達が言ってたのは…。
お前と同じ部の女が一緒にけっこうコンパとか行ってて、男取っ替え引っ替えしてる…とかか。
男をいいように利用して、すぐに捨てるとか…か」


「…そうですか」


誰かに見張られているのだろうか?と思う程、その噂はその通りで。



「後、けっこう色んな男とヤってるって」



それは、ない。


そっか。篤さんはその私の噂を知ってるから、
私が初めてなのを知って、あれ程驚いていたのか。


そして、そんな女なら、ちょっと遊んでもいいと思ったのかもしれない。



「私も篤さんのそんな噂聞きました。
抱いた女は千人は超えてるって」


「千、超えるかよ。
百も超えてねぇよ。
50は超えてるかもしんねぇけど」



やはり、噂程ではないにしろ、篤さんはけっこう遊んでいて。


私も、そのもう数えられない数字の中の一人になったのだろう。



「それより、なんか食うか?」


そう言われ、ベッドのヘッドボードのラックにある時計を見ると、
夜の21時を回っている。



「私、家で母が晩御飯用意しているから。
だから、もう帰りますね。
もう服も乾いてるだろうし」


私はベッドから出ると、床に落ちていた、先程篤さんから借りた衣服を身に纏った。



なんだか、これ以上此処に居たら篤さんとの事が割り切れなくなりそうで、怖くなった。


そう思い、逃げるように寝室を出た。