LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~

「---母親に売られたんだよ」


そう頭上で聞こえた。


今、私の顔はギュッと篤さんの胸辺りに押さえ付けられている状態。


その力が強いから、今篤さんがどんな表情をしているのか、見る事が出来ない。



「俺の母親、昔っから男は途切れないけど、ずっとシングルマザーで。
籍は入れてねぇけど、父親みたいなんも代わる代わる居て。
俺の上に二人姉貴居るけど、そいつらも俺も全員父親が違ったりで、どうしようもない女で」


聞いたわけではないけど、
昔の篤さんのグレてる感じを知っているから、
それなりに家庭環境が複雑なのは気付いていた。



「俺の母親、癌になって。
最初は俺が18の時で、そっからまた再発したりだなんだで。
その医療費でけっこう金掛かったんだけど。
まー、普通に入院してりゃあなんとかなったのかもだが、
段々と個室がいいだ、もっといい病院がいいだとか言い出して。
俺の知らないうちに、川邊に母親連絡取ってて」


篤さんの口にしたその川邊は、
実の父親の事だろう。


今の篤さんの姓でもある、川邊。


「俺の母親は昔クラブのホステスやってて、
川邊はそこの客として知り合って。
付き合ってたのか遊びだったのかは知らなねぇけど、俺が出来て。
それは川邊がまだ独身の頃の事みたいだが、そうやって俺の事も認知もしてなかったから、
川邊にとって俺の母親や俺はその程度だったんだろ」


「篤さん…」


なんだか、その篤さんの話を聞いていると、いたたまれないような気持ちになる。