LOVEDANGER~元ヤン御曹司と悪女OLの身籠り溺愛婚~

「噂では、どうなってんだ?」


そう訊く篤さんは、何処か楽しそうで。



「会長の子供が、その…女の子ばかりだから…。
跡取りで男が欲しくて。
昔、愛人か何かに産ませたその子供を自分の籍に入れたとか…」


噂では、そう回っている。


会長と本妻のその奥さんとの間に、
上が高校生、下が小学生迄四人の子供が居るみたいだけど、
全員女だとか。


それで、跡取りが欲しくて篤さんを…。



「その噂の通りだ」


「そうだとしても。
実の父親だとしても、ほぼ他人みたいな人間の子供に急になるって…」



一体、なんでって思う。



「そう言うけど、そこら辺のただのおっさんじゃねぇだろ。
天下のベリトイの会長だろ?
そんな奴の跡取りになれんだ、夢みたいな話だろ?」


そうなんだけど。


そうなんだろうけど。


そうじゃないと思う。


「なんだか変なんですけど。
今よりも、昔のグレてた時の篤さんの方が、
ちゃんと真っ直ぐに生きているように見えたから」


そう言って、見た篤さんの顔から笑顔が消えていて。


篤さんは私を、ギュッと抱き締めて来た。


それは、ちょっと苦しいくらいで。