「お前の気持ちは分かった。
思い切り俺の事殴れ。
んで、梢に言われた事なんか綺麗サッパリ忘れろ。
梢もそうだが、そうやってLINEがキモいとか言って来るような女なんか逆に振ってやれ。
お前はお前らしくいりゃあいいし、そんなお前を好きになってくれる女がいるだろ。
LINEのメールがどうとか思うなら、電話でもかけまくれ」


「そ、そうですね」


高月さんは、篤さんの言葉に感銘を受けたのか、
その顔が憑き物が落ちたみたいに晴れやかになって来た。


「じゃあ、遠慮なく殴れ」


「え、でも…」


高月さんはそう躊躇っているが、そうだろうな、と思う。


この人、人なんか殴った事今迄ないんじゃないかって。


「お前が殴らねぇなら、俺が殴るぞ？」


その篤さんの言葉に、高月さんは首を横に振り、
右手を握り締める。


そして、篤さんの事を殴った。


「あ、すみません！」


高月さんはそう謝るが、


「謝るな。
俺が殴れって言ってんだからよ」


篤さんのその殴られた左の頬が、少し赤くなっている。