◇
「え、じゃああれカピバラじゃないんですか?」
「そう。なんて言ったかしら?
ヌートリアだったかなぁ」
夕方の16時。
私は松嶋さんのデスクに椅子を持って行き、
その仕事を見せて貰っていた。
松嶋さんは、自分の企画で既に商品化されている商品の、
リニューアル案を練っている。
同じ女性だからか、自然と松嶋さんが私に仕事を教えてくれている。
「元々外来種みたい。
最近、日本で増えてるらしいよ」
「そうなんですね」
松嶋さんはその作業に息詰まって来たのか、
私と少し雑談をしていた。
視線はパソコンのままだけど。
大した話ではないのだが、私から振った話題。
以前、会社の近くの川でカピバラを見たと。
そうしたら、それはカピバラではなくて似た生き物なのだと、松嶋さんが教えてくれた。
あれ、カピバラじゃなかったのか…とちょっと残念だけど、いいや。
そのヌートリアとかいう生物のおかげで、
私は篤さんと結婚出来た。
あの時、その存在に気付かなければ、
篤さんがあの橋に来る前に、私は駅へと向かっていた。
そもそも、篤さんは滅多にあの橋を渡らず、違う道を使っている。
あの日、篤さんは会社帰りに本屋へ行こうと、
たまたまあの橋を渡ったらしい。
「え、じゃああれカピバラじゃないんですか?」
「そう。なんて言ったかしら?
ヌートリアだったかなぁ」
夕方の16時。
私は松嶋さんのデスクに椅子を持って行き、
その仕事を見せて貰っていた。
松嶋さんは、自分の企画で既に商品化されている商品の、
リニューアル案を練っている。
同じ女性だからか、自然と松嶋さんが私に仕事を教えてくれている。
「元々外来種みたい。
最近、日本で増えてるらしいよ」
「そうなんですね」
松嶋さんはその作業に息詰まって来たのか、
私と少し雑談をしていた。
視線はパソコンのままだけど。
大した話ではないのだが、私から振った話題。
以前、会社の近くの川でカピバラを見たと。
そうしたら、それはカピバラではなくて似た生き物なのだと、松嶋さんが教えてくれた。
あれ、カピバラじゃなかったのか…とちょっと残念だけど、いいや。
そのヌートリアとかいう生物のおかげで、
私は篤さんと結婚出来た。
あの時、その存在に気付かなければ、
篤さんがあの橋に来る前に、私は駅へと向かっていた。
そもそも、篤さんは滅多にあの橋を渡らず、違う道を使っている。
あの日、篤さんは会社帰りに本屋へ行こうと、
たまたまあの橋を渡ったらしい。



