「それは、どんなのだ?」


そう言って、一応という感じで篤さんは訊いてくれる。


もし、これが仕事上じゃなくプライベートならば、
こんなやり取りが原因で私と篤さんが喧嘩になる事もしばしば。


空気読め、とか言われて。


「カプセルトイです」


いわゆるガチャガチャ。


「カプセルトイ…」

篤さんの表情は、さらに重くなる。


美少女アイドル戦士シリーズのカプセルトイなんか、既に数多の商品があるだろうから。


だけど、それは全てその世代の子供向けで。


「私は、初代がドンピシャなんです。
なので、私の世代を対象にした美少女アイドル戦士の初代の、カプセルトイはどうでしょうか?」


大人の女性向け、のこの部に合わせて。


「その、お前の世代を対象にした、初代の美少女アイドル戦士のカプセルトイの商品自体は、なんだ?」


そう訊かれ、追い詰められるような気持ちになりながらも、答える。


「クリップ…です」


そう私が言うと、どちらなのか分からない雰囲気がこの部屋全体に流れた。


篤さんは何かを考えるように私を見ている。