「後、翼を連れて来ていい?」


「え、ああ。
お前の猫か。
全然構わねぇけど」


今日の朝も、私が実家から出る迄翼は私にベッタリで。


もし、篤さんと仲直り出来たら、
翼の事を頼もうと思っていた。


もう翼と離れて暮らす事が、私は考えられない。


「お前のその猫が来たら、花子も喜ぶだろうな」


そう言われ、考えるが。


翼と花子が仲良くなってくれたら、
とても嬉しいな、って。



「後、今キスして」


その私の言葉に、篤さんがちょっと動揺するのが分かった。


そして、私だけじゃなく、篤さんもドキドキとしているのが、触れあっている体から伝わって来る。


「ほんと、全然人来ねぇよな」


そうちょっと照れたように、私の顔を覗き込むと、
そのまま私にその唇を重ねて来る。


篤さんと前にキスをしたのは、
関係を持ち、車で自宅へと送って貰った時で。


あの時は、最後だと思って、私から篤さんにキスをした。



またこうやって、篤さんに触れてキス出来て、
そして、好きだと言って貰えて。


本当に、私は幸せだ。


だからか、先程からつわりの気持ち悪ささえも忘れてしまう。



「後は、帰ってからしねぇか?」


篤さんは私から唇を離すと、
私の手を握り、歩き出す。



「うん。今夜は一晩中しよう」


その私の言葉に、えっ、と困っていたけど。