「りつ……!」
けど、そのときにはもうすでに吐息が触れるぐらいまで近づいていて。
とっさにぎゅっと強く目をつむり、思いきり顔を逸らした。
────そして、無我夢中で叫んだ。
「よ、吉原さんがいるのになんでこんなことするの!?」
あっ、と思ったときにはすでに遅くて。
そんなことを言うつもりまったくなかったのに、逃げなきゃという感情が先走ってしまい、
気づいたときにはもう余計なことを口走ってしまっていた。
おそるおそる視線だけ律へと向ければ、律は面食らったような顔でわたしを見下ろしていて。
「吉原?なんで吉原のこと……って、あぁ、さっき会ったっけ」
一瞬天井を仰いだあと、あっけらかんとそう言い放った。


