『で、でも、それって恋愛感情じゃないかもしれないじゃん』
『え~そうかなぁ~幼なじみ取られそうだから寂しくなったって? あの律くんが? それこそ意外すぎてありえなくない?』
『……たしかに』
『それにさ、衣奈も律くんのこと好きじゃない』
『すっ!?ちが……!今はちがうから!好き“だった”のは何年も前のはなし!!』
『え~一緒じゃない? じゃあさー、もし律くんのヤキモチが恋愛感情だったら、もう一回好きになるとかどう?だったら両思いになるでしょ?』
『も、もう一回って……』
っていう会話を千雪としたものだから、電話を切ったあと昔のことを色々思い出しちゃって寝れなくなっちゃったってわけだ。
「千雪のやつ、他人事だと思ってさ」
律のことを好きだったのは本当だけど、今はちがう。
───だって、律はわたしのことなんて興味ないから。


