「……」
パタン、と静かに閉まるドア。
それを目にした瞬間、妙な感情に襲われた。
ドキドキと不安と困惑が入り交じった、何とも言えないむずがゆい感情。
そして、場所は違うけど、ほんの数日前に起きた律の部屋での“出来事”も脳裏に浮かんで、すぐさま律から目を逸らして膝に顔を埋めた。
「何かあったの?」
「……なにも」
「うそ」
「……」
「昼間に言ったよね。衣奈のことなら大抵分かるって」
「っ、」
まさか、それを一日に二回も聞くとは思ってなかった。
聞きたくなんか、なかった。
わたしのことなんて全然分かってないくせに、そんなこと言わないでほしい。


