「衣奈、」
「ダメ!入って来ないで!」
今入って来られたら困る。
どんな顔をしたらいいか分かんないし、正直、平静を装う余裕もない。
だから、入って来ないで欲しい。
「なんで?着替えでもしてんの?」
「着、替えはしてないけど……」
どうしよう。パニックになりすぎてて、いい言い訳が思いつかない。
「入るよ」
「ちょ……!」
良いと言っていないのにドアを開けられて、バッチリと律と目が合ってしまう。
「衣奈?」
思い出したくなくても勝手にさっきの光景を思い出して泣きそうになった。
そんなわたしの少しの変化を見抜いたのか、律が怪訝な顔をしながら部屋へと入ってくる。


