幼なじみじゃ足りないよ。





「はぁ~……」



資料がある教室に入ると、ドアを背にしたままその場にしゃがみ込む。




「……あー、もう意味分かんない」



律に対して抱いているこのよく分かんない感情も、最近の律の言動も。

分かんなさすぎて頭がパニックだ。





そっと胸元を押さえれば、いつもよりはっきりと波打つ鼓動。


その原因は考えるまでもなく律のせいで。


それが“ある感情の前触れ”だってことはもう自覚している。