幼なじみじゃ足りないよ。







「────で、何なの」




何がだろう。


屋上へと続く階段の踊り場に連れてこられたかと思えば、急にそんなことを言われて。


何なの、なんて、それは急に現れて無理矢理連れてこられたわたしのセリフなんだけど。




「何なのって?」

「衣奈が俺を無視する理由」

「っ」



まさかド直球で聞かれるなんて思ってもいなかったから、分かりやすく動揺してしまった。


ただでさえ顔に出やすいって言われているのに、付き合いの長い律がそれを見逃すわけがない。




「なんの──」

「してるでしょ」