「行くよ」
「えっ、ちょ……!……あ、高崎くんごめんね!ありがとう!」
「え、あ、ううん」
高崎くんがポカンとするのも無理はないと思う。
わたしだって今の状況が上手く飲み込めていないし、なんで律に手を引っ張られているかもよく分かっていない。
「律!離して……!」
「……」
もうなんなの!?意味分かんない!
呼びかけているのに、返事もしないし振り返りもしない。完全に無視。
けど、なんとなく怒っていることだけは分かる。
どこに行くのかわかんないけれど、今の律は聞く耳を持たないってことは分かってるから、大人しくついて行くことにした。


