「り────」 離れたと思ったらすぐにまた律の熱に触れて。 柔らかいその感触に思考が完全に停止する。 「っ、り──」 まるで感触を確かめるかのように、ゆっくりと動く唇。 マスクを隔てているせいか、それが逆にわたしの羞恥心を煽っていく。 「っ、んっ……、」 経験不足のわたしには、そのもどかしい誘惑に抵抗する術は持ち合わせていなかった。 触れる時間が長ければ長いほど羞恥心に支配されていって。 それに耐えられなくなったとき、ようやく律の胸元を押し返すことができた。