「とりあえず、行けないから!はなして!」
首に巻きついたままの腕を両手で引っ張り剥がそうとすると、少し力を込めたところで力が緩み、そのまま解放された。
律の重みと熱が無くなってようやくホッとして落ち着くことが出来たけど、モヤモヤはまだ残ったままで。
そっと振り返れば、律は元の定位置に戻っていて、何なら、さっきよりも愛想の欠片もなくこっちに背を向けて寝転んでいた。
「律」
「……」
「律ってば!」
「……」
いくら話しかけてもうんともすんとも言わない律にムッとする。
「もう帰るからね!」
持っていたクッションを律の足に投げつけて、そのまま部屋をあとにした。


