「り、律?」 それが律にもたれかかられたせいだとすぐに分かったけど、それ以上は何も言えなかった。 まるで喋るなとでも言うように、首に腕を回されているから。 「あいつんとこじゃなくて俺んとこに来てよ」 「ちょ……!」 ぞわりとした。 まさか律の顔が耳元にあるだなんて思ってもいなくて。 「分かった?」 「っ、」 声だけじゃなく吐息まで耳にかかって、何とも言えないくすぐったさが背中を駆け上がってくる。