*** 「────で、朝っぱらからなんでそんな暗いのよ」 「……誰のせいだと思ってんの」 「なーに、私のせいだって言いたいの?」 「……」 分かってるくせに。 経験上、口で千雪に適う訳がないと分かっているから、どんなにニヤニヤした顔で見られても無視を貫くことにした。 こんな、誰が聞いてるか分からない教室で昨夜の話をするなんて、そんな自殺行為なことぜったいにしたくない。 「衣奈」 「……」 「衣奈ってば」 「……」 「高崎くんが呼んでるって」 「……へっ!?」