お母様は私の隣に座りギュッと抱きしめ一言。

 「ゆずるに全て委ねて甘えなさい、葵さんはもう私達の家族よ」

 その言葉が嬉しくて、私はゆずるさんの側にいていいのだと、嵐が段々と穏やかになり違う意味で涙が溢れてくる。


 「さあ、みんなで朝食を頂こう」

 みんなで食べた食事は美味しくて、でもちょぴり涙の味も混ざり、タクシーでホテルを後にした。


 タクシーのなかでは会話は無く、それでもお互いの手をしっかり握りしめ、私の心は穏やかになっていく。



 私の心のダムの水が減って行き、温かい空に帰っていく。