通称『イケメン』さんは月に数回来店するようになっていた。

  梅雨入りも間近私は近くの老人ホームシラサギに来ていた。

所長さんから注文を受けた花束を届けに来ていたのだ。
配達も終わり出口に向かおうとした時
イケメンさんが一つの扉から出てきたのだ。

私は思わずじっと見てしまい、彼と目があってその場でどうしたらいいか分からなかった。


 彼が、一歩ずつ近づいてきて、ふぁっと笑顔を向けられ

  「花屋の店員さんですよね、いつも素敵な花束をありがとうございます」



柔らかい笑顔、甘い声になぜかドキッとした。


私の止まっていた心の時計が今少しずづ動き出す。