今宵、君と、あの場所で。

「まさか、あんたの母親があんなに馬鹿だとは思わなかったよ、ちょっと優しくしたらなびいちゃってもう俺の言いなりだよ?」

お母さんは寂しかったのだと思う。

そこにつけ込んだなんて…

「お母さんは!どうしてるの?」

「この期に及んで母親の心配か?親孝行な娘で感心だねぇ」

ねっとりした話し方が気にくわない。

イラッときて、少し口調を強めてしまった。

「答えなさいよ!」

すると。

「アァ?黙れや煩い小娘が!!!」

案の定頭に血が上ったようで、声を荒らげて怒鳴ってきた。

そのまま大股で近づいてくる。

後退りをするが、すぐに壁に背中がついた。

肩を軽く蹴られてバランスを失い、倒れ込む。

そのまま再び足が振り上げられ、今度こそ蹴られる──そう思った瞬間だった。