今宵、君と、あの場所で。


「知ってると思うけど、俺は鬼丸組若頭、鬼丸篤志ね」

にっこり笑っているはずなのに、目が笑っていない。

狂気じみた笑み。

背筋にゾクリと震えが走るが、ここで泣けば相手の思う壺だ。

精一杯の声量で叫ぶ。

「なんのつもりよ!」

「わぉ、気が強いお姫様だな〜。そういう女も嫌いじゃないよ」

「あんたに好かれても意味ないんだけど」

「まぁまぁ落ち着いて。自分が今どこにいるか分かってる?俺が一言言えば、どうにも出来るの」