「美玖様、到着しました。楽仁からあまり離れないでくださいね」

栗栖さんに念を押されながら車を降りる。

大きな一軒家は、2日離れていただけなのに懐かしく感じた。

「すぐ探してきますね!」

玄関を開けて中に入ると、廊下は妙に薄暗かった。

自分の部屋に入り、指輪を探す。

「あ、あった!」

小さい頃から宝物をしまっていた箱の中に、指輪がぽつんと入っていた。

指輪を取り出して小指にはめ、階段を降りていくと、何か叫び声がした。

「美玖は私の娘よ!勝手に連れて行かないでちょうだい!」

「…お母さんっ…?」

玄関に走っていくと、楽仁さんとお母さんが言い合っていた。