「ちょっとしみるよ」
消毒液がついた綿が傷口に当たり、ピリッとした痛みが走る。
「いっ……」
恨みを込めて彼を見上げる。
わぁ、イケメン。この人こそが王子と呼ばれるべき人だと思う。
「──ん。終わったよ」
あまりに整いすぎた美しい顔に見惚れて、ぼーっとしていると、いつの間にか手当ては終わっていた。
「あー。遅くなっちゃったね。送ってくよ」
「え?いいですっ!手当もしてもらったのに、そんなことまでしてもらうなんて…」
「いいの、いいの。俺が送りたくて送っていくんだから。家どこ?」
仕方ない。これ以上意地を張ってもこの人に迷惑になる。
「まっすぐ行って、右に曲がって──」
車はうちの方に走り始めた。


