彼女が落ち着いたのを見て、主の方に向き直る。

「何があったかお聞かせ願えますか」

ムスッとした顔で状況を説明する主は、…なんというか、かっこ悪い。

「男の嫉妬は醜いですよ」

そう言うと、スッといつもの不機嫌顔になった。

「俺、褒めたつもりだったんだが」

本当にわからないとは困った主だ。

「美玖様は身長がコンプレックスなんです!『かっこいい』なんて言うから!」

その言葉を聞いた主は、絶望的な表情になった。

「それだけでこの世の不幸全部引き受けましたみたいな顔しないでくれます?負のオーラが漂ってます」

「あの…すみません、本当になんでもないんです。ハンカチ、今度返しますね」

恐る恐るといった感じで話しかけてきた美玖様は、律儀にもそんな提案をする。

「いや、俺のほうが会う機会が多いから、俺が返すよ」

しかし、醜い嫉妬をした主が速攻ではねのけた。

魂胆が丸見えですよ、主。

「醜いですねぇ」

コソッと呟けば、またもやギロリと睨まれた。