今宵、君と、あの場所で。



「楽仁、それくらいにしろ。下がれ」

鋭い声がして、振り向くと流星さんが立っていた。

「失礼しました」

楽仁さんが頭を下げて出て行った。

「悪かったね、楽仁が驚かせて」

あははっ、と笑いながら私の隣に腰掛ける流星さん。

「やっぱり私じゃ…」

「気にしなくていいよ、楽仁は美玖に妬いてるんだよ。ずっと一緒にいた俺を美玖にとられてね」

嘘でしょ…

「かわいい…」

怖い人かと思ったけど、実は流星さんに忠実なわんちゃんな訳ね。

「そうだろう?でも俺の前で他の男の事を考えないでくれ。殺したくなるからね」

「サラッと怖いこと言わないでください…」

そういえば、わんちゃんといえば…

「リリ!どうしよう、ご飯あげてない…今頃泣き叫んでるかもっ!」

パニックになる私の横で、流星さんは大爆笑している。

「見飽きないな、美玖は。大丈夫、リリは零と栗栖(くりす)が連れてくるよ。もうそろそろ着くと思うんだけど。あぁ、栗栖はいつもの運転手だよ」

あの人、栗栖さんっていうんだ。

「うちにも犬がいるんだ。リリと仲良くしてくれると嬉しいんだけど…ロイ!」