今宵、君と、あの場所で。

元いた場所に戻ると、琴葉達が心配そうな顔で待っていた。

「大丈夫!?」

一目散に駆け寄ってくる琴葉。

「大丈夫だよ。心配かけてゴメンね」

するとホッとしたような顔になって、耳元に口を近づけてきた。

「そっかぁ。流星さんかっこよかった?」

そう言われて、身体中の血液が顔に集中するのが分かる。

「あはは、ごめんって」

笑いながら離れた彼女は完璧な確信犯だ。

「おい。そろそろ始めねーとヤバいぞ」

陸斗が声をかけて、みんながバイクの方に向かう。

「俺らも車に乗ろう」

流星さんにそう言われて、私もさっきの車に乗り込んだ。



そして。



──ブルルンッ

「始まるね、『煌夜(こうや)』が」

流星さんがそういった瞬間、車はバイクの爆音に紛れて走り出した。