今宵、君と、あの場所で。

「琴葉はいくつ?高3?」

「そうだよ。同い年?」

「だね」

「女子同士仲良くしよっ!」



話しているうちに、彼女がかつて剣道をしていたことが分かった。

彼女は小柄で、そんな感じはしなかったけど、結構強かったらしい。

喧嘩では役に立つんだそうだ。

それに、蒼が好きだと顔を赤くして言ったときは、とても可愛かった。

完璧に恋する乙女の顔だったなぁ。

「あ、そろそろ時間だね」

彼女が時計を見て立ち上がった。

「え?」

驚いて見上げると、彼女も驚いた顔をしている。

「流星さんの彼女なんでしょ?流星さんの車に乗るんじゃないの?」

「そうですよ。行きましょう」

後ろから声がして、抱きしめられる。

「可愛い彼女を連れて行かないわけないよね?」

耳元で囁かれて、顔が赤くなる。

「流星さんべた惚れなんだね…」

若干引き気味の琴葉。

「ホントだよ。美玖って意外とガード固くてさ」

ははっ、と笑って、私を倉庫の外に連れて行こうとする。

「私は行きませんっ」

「ここでひとりになるのは危ない。車に乗っておくだけだから」

真剣な顔でそう言われ、渋々ついていくことにした。