「私は、東─」

「美玖ちゃんだよね?」

被せるように言われたのは、突拍子もないセリフで。

「え…?なんで知って…?」

「…あ、ごめん。さっき、バックの名前が見えてね」

少し悲しそうな顔をした彼。

「あ…そうだったんですね!そろそろ、家に着きますけど、何が食べたいですか?」

「何でもいいよ。美玖が作ってくれるなら」

さらっと名前を呼び捨てされて、ドキッとする。

「そうですか。では、私の好きなものを作らせていただきますね!」

「楽しみだな」

そう言って、彼─流星さんは微笑んだ。