ねこ先輩に「好き」を伝える方法。

「お邪魔します……」



手汗に気づかないふりをしながら、私は靴を脱ぐ。

それから奏多先輩に続いて奥の部屋に入る。


広い部屋だなぁ。

思わず部屋の中を見てしまう。


シンプルだけど、生活感のある部屋。

男子にしては綺麗な部屋だと思う。

……男子の部屋を見たことないけれど。



「みゃぁ」



足元でかわいらしい鳴き声が聞こえた。

視線を落とすと、奏多先輩の足元に黒猫ちゃんがすり寄っている。

……クロちゃんだ。



「クロ、ただいま」



奏多先輩はクロちゃんを抱っこする。


……可愛い。

クロちゃんも可愛いけれど、クロちゃんを前にしている奏多先輩も可愛い。


学校とは違った一面。

“学校1カッコイイ奏多先輩”じゃなくて、“甘々な奏多先輩”って感じがする。

そんな私の視線に気がついたのか、奏多先輩は少し照れくさそうに、



「抱っこしてみる?」



と、言った。