ねこ先輩に「好き」を伝える方法。

「ピンキーリング……」



私の右手を、そっと手に取る先輩。

先輩の手の温度が、私の右手に伝わる。

ピンキーリングから私の目を見つめる先輩。

先輩の瞳は、微かに揺れていた。



「もしかしてさ。このピンキーリングはお母さんからもらったもの……?」



その瞬間。

私の目から、大粒の涙がこぼれた。

廊下の真ん中で泣き出す私。


もう、分かってしまったから。

目の前にいる先輩が“ユウさん”だ、ってことが……。


だって。

このピンキーリングの話はユウさんにしかしていないから。

ユウさんだけが知っている、特別な話。