「奏多先輩」



私の声に奏多先輩が振り返る。

奏多先輩にラッピングした袋を渡す。



「……これは?」

「開けてみてください」



奏多先輩はラッピングのリボンを丁寧にほどく。

その袋から取り出したものは。



「猫のお弁当袋……?」



そう。

ネコ耳がついたお弁当袋。

いつか渡したいと思って作っていた、お弁当袋。

デザインは、クロちゃんをモチーフにしてみた。



「奏多先輩と出会う前……。お弁当袋の話をしていたから……」

「うん、覚えているよ」

「だから、渡したくて。……貰ってくれますか?」



そう言った瞬間。

私の体は奏多先輩に引き寄せられていた。

奏多先輩の体温を感じる。



「もちろん。……作ってくれてありがとう」

「……貰ってくれてありがとうございます」



顔を見合わせ笑い合う。



「本当に、芽衣に出会えてよかった」

「私もです。……いまでも不思議な感じがします」

「芽衣のお母さんのピンキーリングのおかげだね」